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人毛について |「髪レポ」シリーズ Vol.10

はじめに

「かつら」に使用されている毛材には、大きく分けて「人毛」と「人工毛」があります。

以前は、一部に「獣毛」など人間以外の毛を利用した「かつら」もあったようですが、現在ではほとんど聞きません。

人毛

今回は、「人毛」についてお話をしたいと思います。

「人毛かつら」とは文字通り、人の髪の毛を使用した「かつら」の事です。

「かつら」には「東洋人向け」「西洋人向け」などのマーケットがあって、使用する人種によって、使う「人毛」も異なります。

東洋人向けの人毛は、「インド産」、「ブラジル産」や「中国産」が主な毛材で、西洋人向けは「ウクライナ産」などがあるようです。

現在、「人毛」の入手は困難になってきています。理由は、経済の発展により、人毛を売る方が年々少なくなってきているからです。

「人毛」の需要は相変わらず多いですので、当然「人毛」の価格は高騰しています。「人毛」のクオリティにもよりますが、数万円/kg~で取引されています。

レミーヘア

中でもクオリティの高い毛材「レミーヘア」は人気で、ロングヘアであれば非常に高価です。

「レミーヘア」とは、一人の髪の毛だけを集めた「毛束」または「かつら」の毛材ですので、毛の長さも均一ですし、カラーも同一なので「毛材」の表面処理をすることが少なくて済みます。

そして、「キューティクル」の向きを髪の毛と同じ向きに植毛することも可能です。

人毛の加工

一般的に使用する「人毛」はいろいろな人からの髪の毛を寄せ集めて整え、製品化します。その方が無駄がないからです。

寄せ集めた人毛は、「キューティクル」を溶かして毛材の表面を滑らかにするために「酸」に浸す工程を繰り返します。

そして、色を均一にする為に、色染めの工程が必要です。

これらの表面加工工程が多い程、「人毛」は傷んでいきます。これは、髪の毛を何度も染めると傷んでしまう現象と似ています。毛染めで傷んだ髪の毛は回復しません。

そして、毛染めした「人毛」は外的要因によって「退色」しますので、だんだんと明るい色に変わっていきます。

そして、また地毛に近い色に染め直す必要が出てきて、また傷んでしまいます。

人毛かつらのケア

時々使用するような「ファッションウィッグ」であれば、頻繁に洗髪することも無く、紫外線からの影響も受けにくい事から上記のリスクはそんなに考えないで良いと思いますが、「かつら」を毎日自分の髪の毛のように使用するケースだと、丁寧で正しいアフターケアが重要になってきます。

それと気を付けなければいけないのは、ロングヘアの「人毛かつら」の場合、洗髪の後に「毛がらみ」を起こすおそれがあります。

もし、絡んでしまった場合は無理にブラッシングをするのではなく、丁寧に「毛がらみ」をほどいてあげる必要があります。

まとめ

こんな風に「人毛かつら」にはリスクがありますが、なぜ人気なのでしょうか?

それは、やはりその「自然さ」にあるのでしょう。

「人毛」は本物ですから、当たり前ですが自然です。かたや現在の「人工毛」はどうでしょうか?

次回は、その「人工毛」に焦点を当ててお話をしたいと思います。

「髪レポ」シリーズ(連載記事)

  1. かつらってどういうもの? |「髪レポ」シリーズ Vol.1
  2. かつらの役割と効果 |「髪レポ」シリーズ Vol.2
  3. かつらの種類(前編) |「髪レポ」シリーズ Vol.3
  4. かつらの種類(後編) |「髪レポ」シリーズ Vol.4
  5. かつらの種類(後編) |「髪レポ」シリーズ Vol.5
  6. 「かつら」と「ヘアコンタクト」の違い  |「髪レポ」シリーズ Vol.6
  7. かつらの耐久性と寿命 |「髪レポ」シリーズ Vol.7
  8. かつらの修理|「髪レポ」シリーズ Vol.8
  9. ヘアコンタクトは何故、使い切りなのか? |「髪レポ」シリーズ Vol.9
  10. 人毛について |「髪レポ」シリーズ Vol.10(この記事)

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