人の手で丁寧に作製された「オーダーメイドかつら」や大量生産の「レディメイド」などその商品の耐久性や製品寿命はどのくらいなのでしょうか?
今回は、一般的な「かつら」の耐久性と寿命についてお話をしていきたいと思います。
「かつら」の耐久性と寿命
ご愛用の「かつら」をなるべく長持ちさせたいというのが、ユーザーの方の願いです。
大切に使って頂けたら勿論、自然な状態で長持ちをさせる事が可能です。
長く大切に使って頂く為にも、「かつら」の特性をまずはよく理解して頂ければと思います。
一概に耐久性といっても、商品の仕様や使用部材、使用されるユーザーの頭皮のコンディションや商品の取り扱い方法などで、その商品寿命は随分と差が出てくることは、ご想像頂けるのではないでしょうか?
商品仕様
「男性用かつら」で現在主流になりつつある「超薄型かつら」は、ベースがメッシュでも樹脂製でも、その耐久性は従来のかつらに比べて低い傾向にあります。
「超薄型かつら」のメッシュ素材は、使用する繊維1本1本が細いうえ、ベース周りや耐久性向上のための補強加工を施されていない事が多いためです。
「かつら」のフロント部分がフロントネット仕様のものは見た目には非常に自然になるのですが、耐久性は低めです。
シリコンやウレタン樹脂のベースに関しては、ベースを丈夫にしたい場合には樹脂を何度か重ね塗りして厚みを出すのですが、「超薄型かつら」は重ね塗りの回数が少ない分、耐久性が低くなります。
メッシュタイプの一般的なベースは、フロントやベース周りに折り返し処理がされており、型のゆがみやベースのエッジ(端)部分の損傷などを軽減します。
使用部材
使用する毛材は、「人工毛」「人毛」に関わらずその劣化はベース素材よりも早く感じると思います。
「人毛」に関しては、やはり退色をして色が明るくなっていきます。
明るくなってしまった毛材を、自毛の色に合わせるために、染毛を何度か繰り替えすうちに人毛の張りや艶が劣化して、本来の自然さが失われていきます。
「人工毛」は退色をすることは殆どありませんが、変色の可能性はあります。
それと、静電気により「ピーリング」と呼ばれる「人工毛」のちりつきを起こす可能性があります。
これはヘアアイロンで伸ばす事が出来ますが、何度も繰り返す事で毛材の張りや艶が劣化して、本来の自然さが失われていきます。
「かつら」のベースや人工皮膚に樹脂を使用される場合は、長年使用されると経年劣化でひび割れなどを起こす可能性があるため、見た目の自然さにも悪影響を与えていきます。
メッシュ素材の繊維は、化学繊維を使用することが多いですが、これも樹脂ベースと同様に経年劣化による破損は起こります。
商品メンテナンス
使用されるユーザーの頭皮から出る汗や皮脂の影響や、洗い方や乾燥方法、保管方法なども耐久性に大きく関わりがあります。
なるべく製品を清潔に保つ事が大切ですので、毎日ご自身の頭皮や髪の毛の洗髪をして製品への影響を少なくすることが必要です。
「かつら」の洗浄時も毛材に優しいシャンプーを使用し、必要があればコンディショナーを使用して乾かす時に絡まないよう気を付けてください。
「かつら」のベースも、付着した皮脂などの汚れをきれいに落とし、清潔に保つことが素材の寿命を延ばす上で重要です。
「かつら」を乾かす際は、丁寧にタオルドライをして毛材の水分を十分に取った後にブラシや櫛で優しく整え、自然乾燥かドライヤーの弱めの冷風で丁寧に乾かす事をお勧めします。
「かつら」は寝るときに、着けたままお休みになると枕や布団との摩擦により静電気を起こす事で、毛材へのダメージが考えられます。なるべく外して、専用台などで保管することをお勧めします。
※「かつら」の種類や仕様により、メンテナンスの方法は異なりますので購入された店舗や販売担当者に必ずアドバイスを受けるようにしてください。
まとめ
これまでお話をしたように、「かつら」の耐久性や寿命は、仕様やメンテナンス方法などにより違いが出ます。
「かつら」は物ですので、物理的に壊れなければ長くもたせることは出来ますが、製品の性質上、見た目の自然さを保った状態でないと「かつら」本来の役割を果たせません。
「かつら」の特性を良く理解して、自然な見た目を保ちながら、出来るだけ長くご愛用頂けたらと思います。
次回は、「かつら」の耐久性や寿命に関連して、「かつら」の修理に関してお話をさせていただこうと思います。