「かつら」の制作において、毛材の植毛はその「かつら」の価値を高めるための重要なプロセスとなります。
より一層自然な見た目を得るためには、植毛においてはミシンで行うのではなく手作業が用いられ、これにより生まれる「ハンドメイドかつら」は市場において高い評価を受けています。
手作業の植毛は非常に細やかで、このプロセスを専門に担当するかつらサプライヤーの職人たちは、非凡な技術を習得するためのトレーニングを受けています。
商品のサイズにより植毛にかかる時間は変動しますが、広範囲に手作業での植毛を施す商品には数日かかることもあります。
迅速な商品完成を目指すため、熟練の植毛技術者は毛材を秒単位で「かつら」のベースに植毛します。
植毛時には「タッピ針」など裁縫に使う道具が活用されます。毛流れは利き手によって決まるため、希望する毛流れを考慮してかつらベースの位置を変えて植毛します。
結び方も複数あり、結び目を小さくしたい箇所やしっかり結びたい箇所などを考慮して、結び方を変えることもあります。
最近では、自然な毛の生え方を演出するために「かつら」の分け目に「引き抜き技術」が増えています。
この技術は毛の生え方が自然に見えるように、メッシュの上にもう1枚メッシュを重ね、毛をメッシュの升目から引き抜くものです。
この技術は非常に自然な印象を与えますが、作業に時間がかかるため、比較的高価です。
結び目の損傷を軽減するため、結び目のあるメッシュを上下にメッシュでサンドイッチ状にすることもありますが、デメリットとして「かつらベース」の厚みが増します。
長時間、細かい作業と注意深さが求められるため、かつらサプライヤーは人材確保に苦慮しているようです。
これらのプロセスを機械化しようとするメーカーも存在しますが、需要に追いつくにはまだ時間がかかりそうです。
「かつら」の制作はまだまだ人の手に頼っている現状ですが、手作りの「かつら」には独自の魅力があると感じます。
今後の技術向上に期待したいと思います。