かつらのヘアカットは、自毛のヘアカット方法と似てはいますが、専門の知識とスキルが必要です。
かつらのヘアカットについて
≪自毛とかつらの毛 ヘアカットの違い≫
自毛は日々伸びますので、ヘアカット後に伸びた時のヘアスタイルも想定してスタイルを作るのに対して、かつらの毛は伸びませんのでその時点でお客様が気に入るヘアカットを施し、その後のヘアセットがお客様ご自身でやりすいように考慮する必要があります。
自毛のヘアカットは、数か月後に伸びてから新たなヘアスタイルを作ることが出来ますが、かつらにはその自由度がありません。
ですから、かつらのヘアカットをする際に失敗は出来ません。
技術スタッフは細心の注意を払い、お客様のニーズに応えられるよう事前に綿密なカウンセリングを行った後で、ヘアカットをする必要があります。
≪部位ごとに細かく違う 毛の長さ≫
頭皮の毛穴から生えている髪の毛は、1本1本生える時期や毛周期により髪の毛の長さが異なります。長い毛もあれば、短い毛もあり長さは均一ではありません。
片や、かつらの髪の毛は工場で植毛する際に一定の長さが必要になりますので、ほとんど均一の長さで出荷されます。
出荷後のかつらを自毛と同じようにヘアカットしてしまうと、上記の違いが原因で自然な風合いを再現することが出来ませんので、特殊なヘアカット方法が必要になります。
ヘアカットの際に、根本に近い場所や中間部、毛先に細かく梳きを入れて、書道の筆先のように根本から毛先にかけて自然に細くなるような仕上がりにしていきます。
この作業をおおざっぱにしてしまうと、きれいなヘアスタイルがつくれません。髪の毛を細かくスライスして丁寧にヘアカットを行いますので、自毛のヘアカットより大幅に時間を要します。
ハサミは、基本的に梳きばさみを利用します。場合によってはレザー(剃刀)も使用することもありますが、人工毛を使用した場合にはピーリングといってちりつきの原因になる事がありますから、注意が必要です。
≪その他 かつらヘアカットの注意点≫
それと重要なポイントとして、自毛とかつらとの境目になるかつら周辺部の髪の毛のヘアカット方法があります。
お客様の自毛と馴染ませるために、一定の長さを保ち、より丁寧なヘアカットをする必要があります。
かつらは、自毛と違いヘアカットだけでヘアスタイルを作る事は困難です。ヘアカット後に特殊なヘアセットを施すことによって自然なヘアスタイルを創造することが可能になります。
次回は、かつらのヘアセットについてお話をしたいと思います。