ど~もヘアコンタクト開発担当です。
前回に引き続き、ヘアコンタクトのベース素材の模索の話をさせていただきます。
前回までのあらすじはこちら
https://propia.co.jp/blog/propia-development-of-haircontact-6
「透明シートでの開発」と方向決めをした上で、まずはシートの素材選び。
「薄さ」と「丈夫さ」は絶対条件です。そして重要だったのが「丸い頭にフィットする」素材であるということ。
かつらの場合は基本的に頭皮もしくは頭髪の上にのせて使用するものであり、ある程度丸みを帯びた形状にして作成すれば使用することができる。
ヘアコンタクトも開発当初は植毛したシートをドーム状に加工して製品化する予定でした。
しかし一人一人、形や大きさが異なる頭にピタリとフィットさせるためには細かい形状変化を与えられるものでなければなりません。
手作りのかつらであれば時間と手間をかければ完全とはいかないまでもある程度変形させて作ることも可能ではあるのですが、ヘアコンタクトはかつらとは違います。
頭皮へ直接フィットさせることでより自然に、よりリアルに頭髪を再現させなければなりません。
このような特性を持たせることを考慮すると素材はセロファンというよりもラップのようにある程度伸縮性を持ったものでなければならないということになります。
人工毛開発でお世話になった繊維メーカーにも協力をいただき様々な素材のフィルムをテストすることができ、方向性を定めることができました。
伸縮性が高く、透湿性(水は通さないが、水蒸気は通す)を持ち丈夫であることが特徴のフィルムを採用することに。
素材は固まったのですが、実用化に当たって最も問題になったのが、前回のブログでご説明した透明度の高い仕様のものは光を反射して目立ってしまうということでした。
反射を抑えるためには表面細かい凹凸(エンボス)加工を施せばよいのですがエンボス加工すると見た目が白くなってしまうのです。
窓ガラスは透明なものだと光を反射して夜、外が暗くなると室内のものが映ったりしますよね。
同じ窓ガラスでも、すりガラスは反射しませんが白く見えて透明度は無くなってしまいます。
フィルムでもそれと同じ現象になるのです。
なのでエンボスによって白くなってしまうと今度は頭皮が透過せず、別の意味でシートが目立ってしまうのです。
フィルムの表面に凹凸を作るのは、出来上がったフィルムに後から傷等をつけて加工するのではなく、フィルムを製造する過程で処理をしなければならないので様々なエンボスフィルムを試すには出来上っているフィルムを試して、ダメならまた別の加工のフィルムを試すという非常に時間のかかる作業となったのです。
希望の素材で作られた、当時としては最も薄いとされる厚さ0.03㎜(一般的なコピー用紙の1/3)という条件の中で最適な仕様のものを見つけ出してヘアコンタクトのベースとして採用したのでした。