ど~も、ヘアコンタクト開発担当です。
さて、生産が追い付かない中での映画撮影協力の依頼を受けたことは嬉しい反面、生産工程に滑り込ませる余地はあるのかという現実の狭間で悩んだのですが、先方の強い要望もあり条件付きで受けることになりました。
その条件とは
1, 装着する役者の方は最小限に絞ること
2, すべてを髪の毛をヘアコンタクトで作ることは難しいので薄いネットベースのカツラを一部併用すること
このことで、ヘアコンタクト生産枚数をおさえられたので、最終的に協力できることになったのです。
ヘアコンタクトを使用する役者さんは2人、頭皮と髪の境目の出ない後頭部にはカツラを使用しました。
試作品を提供してテストを行ってもらったところ大変満足されていました。
監督が思っていた通りの仕上がりになったのです。
高い評価をいただいたことはとてもうれしかったのですが、そのテストに同席していた役者の方が自分も是非使いたいと要望され結局一人増えて計3人の役者さんに提供することになってしまったのでした。
生産数が1.5倍になったことで製造部へ依頼するにしても営業部へ販売納品スケジュールの調整をお願いするにしても「当初と話が違うじゃないか!」と怒りを買うことは明らかでした。
今この記事を読んでいるあなた、『え?たった2人が3人になっただけでしょ。大したことないじゃん』と、思ったでしょうね。
前回お話しした通常の丁髷カツラは一人に1個1回作れば何回も使い回しできるのですが、ヘアコンタクトは一定期間で交換する必要があります。
更に一人に対して数パーツに分割して作るので、撮影期間を考えると3人でも結構な枚数になります。
その分は確実にお客様分の生産調整をしなければなりませんし、その調整数を最小限に抑えるためには生産部に無理を強いなければなりません。
何しろこの映画の依頼時期も本生産のラインが出来上がる前のお話しだったのですから。
しかし、ヘアコンタクトという新しいジャンルの毛髪商品を開発したことがどのような可能性を持ち得ているのかを探ることも必要だったのです。
実際に使用していただいた役者の方の写真等をお見せすることはできませんが、ヘアコンタクトで作った丁髷は時代劇カツラのそれとは明らかに違っていました。
両サイドの髪はカツラで作られたものは丸みを帯びてボリュームも多く、ヘアコンタクトで結った髪に比べると不自然に思えました(いわゆるつくりもの感がある)。地毛との境界線も…
テレビや映画で時代劇をみる機会が多々あっても“つくりもの”と最初から知っているからか、特に違和感を持たずに当たり前と思っていたものが、よりリアルに作ったものに比べると違いが明確に表れたのでした。